- ゲーム業界とNFTの相性は良いとされていたが、現場の熱狂は徐々に冷めていく傾向に。
- ゲームのコンテンツが資産とみなされることで、純粋に楽しめなくなる構造に批判が集まる。
- 『マインクラフト』を開発したゲーム会社のモヤンは、NFT関連のプロジェクトを終了させた。
期待と裏腹に、NFTのせいでゲームが投資に変わってしまう?
2021年遅く、暗号資産(仮想通貨)が過去最高値を更新する中、複数の大手ゲーム開発スタジオは非代替性トークン(NFT)を使ったゲームを次の目玉として位置付けようとした。それからほんの数カ月後、価格下落およびプレーヤーや従業員からの批判を受け、そうした熱狂は冷めた。
キャラクターの衣装や武器などのアイテムをNFTとすることで、コレクション要素やオリジナリティを高めることができると期待されていた。それがゲーム開発会社にとっても、新しい収益となると期待されていたのだが、実際はそう上手くいっていない。
dai06
NFTやゲーム内仮想通貨など投機的資産は、ゲームの力学やプレーヤーの期待を根本的に変化させた。魔法の剣であれロボットのコスチュームであれ、これらのアイテムは現実世界の金融資産だ。こうしたアイテムがゲーム内に存在することで、クリエーターとプレーヤーは投資家に変わる。
マイクロソフト傘下のゲーム開発会社モヤンは、NFTが「希少性や排他性」を生み出すと指摘。人気ゲーム「マインクラフト」を開発した同社は企業に対し、ブロックチェーンネットワーク上の世界やゲーム関連NFTをつくることを禁止し、一部の進行中の実験を実質的に終了した。
NFTがゲームに登場することは選択肢の幅を広げると思われていたが、実際は「純粋にゲームを楽しめなくなる」といったシンプルな批判が噴出する流れに…。
超が付くほどのビッグタイトル『マインクラフト』を生み出した会社も、NFTに対するリソースを割くことを辞めてしまったようだ。
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ゲームの経験よりも宣伝を重視することは、プレーヤーの信頼を裏切ることにつながると、開発者らは指摘する。ゲーム開発スタジオは焦点を明確にせずに暗号資産に関与することで、評判の悪化に見舞われかねないと、英デモントフォート大学でNFTの倫理に関する論文に取り組んでいる研究者キャサリン・フリック氏が指摘した。
ゲーム開発の現場は、膨大な資金が必要であったり、そもそも多忙であったりと苦労が尽きない。NFTによって収益性が向上すれば、そうした苦しさも緩和される可能性があったのだが、やはり業界を支えるプレイヤーたちに寄り添わなければ業界そのものが立ち行かなくなると考えたのだろう。
今後も業界の模索は続く。
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<参考元>bloomberg