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不正が起きないICO!?DAICOについて考えよう!

この記事は、湯本からの投稿です。

仮想通貨を使って資金を調達する仕組み「ICO(Initial Coin Offering)」。
企業が新しくプロジェクトを発足する時などに、ホワイトペーパーなどと一緒に売り出して資金を集めることができます。

しかし実体の無い、あるいは目的を達成するつもりの無い、いわゆる「詐欺ICO」が蔓延しており、各国の政府も規制する流れになり始めています。
ICO自体は非常に画期的な仕組みですし、完全に規制されることになれば技術革新の妨げになりかねません。

このような状況を改善するため、イ―サリアム創始者であるヴィタリック・ブリテン氏が新しいICOの仕組み「DAICO」を提唱しました。

そこで今回は「DAICO」がいったいどんな仕組みなのかを詳しく解説していきたいと思います。

DAICOはICOを非中央集権的に管理する仕組み

ICOは企業が資金調達をする際、自社独自のトークンを発行して出資者を募る仕組みです。
この仕組みの性質上、どうしても中央集権的に管理されてしまい、発起人のやりたい放題になってしまっているのが現状です。
資金がある程度集まったら、何事も無かったかのように消滅させて資金を持ち逃げする「詐欺ICO」も広まっています。

そんな中、ヴィタリック氏がまったく新しいICOの仕組みを提唱しました。

Vitalik Buterin, the creator of the Ethereum Network, recently proposed a new method for decentralized fundraising called the “DAICO”. Incorporating elements of Decentralized Autonomous Organizations, or DAOs, the new model is designed to minimize the complexity and risk associated with ICOs.
Buterin outlined the new model in a post on the Ethereum Research Forum entitled “Explanation of DAICOs”. In the exposition, the Russian-Canadian programmer outlines a new model that integrates characteristics of DAOs into ICOs to create a new model he refers to as the “DAICO”.
引用元「Vitalik Buterin Releases Revolutionary New DAICO Model for ICOs」

(当記事による翻訳)
イ―サリアム創設者であるヴィタリック・ブリテン氏が最近、「DAICO」と呼ばれるまったく新しい分散型資金調達の方法を提案した。
このモデルは地方分権自治組織(DAO)の要素を組み込み、複雑なICOに関するリスクを最小限に抑えることができる。
ヴィタリック氏は、イ―サリアムリサーチフォーラムの中で「DAICOの説明」というタイトルで概要を説明した。
このフォーラムでは、ロシアやカナダのプログラマーも、「DAO」の特性をICOに統合したDAICOはまったく新しいモデルだと説明した。

では一体「DAICO」とは、一体どういった仕組みなのか、詳しく解説していきたいと思います。

「群衆の知恵」を活用し、健全な管理をめざす

DAICOの最も大きな特徴は、「群衆の知恵」という考え方を取り入れた非中央集権型の資金調達方法だという部分です。
群衆の知恵とは、多様性のある参加者が個別に自律しており、他者に影響を受けずにより多くの意見を集めて、その総合的な見解を正解とする考え方です。
一部の研究者によると、1人の専門家の意見と群衆の知恵で決められた意見では、後者の方が正しい判断を下すことができるというデータがあります。
この仕組みを上手く使えば、ICOを非中央集権的に管理することができ、発起者の思惑が関与しない健全な資金調達ができるとしています。

調達した資金は、企業が自由に使えるというわけではない

DAICOがICOと最も異なる点は、プロジェクトを発起した企業が使える調達資金に制限がかかっているという部分です。
DAICOは1秒間に引き出すことができる金額が決められており、「TAP」という単位で区切られています。

このTAPはトークンを購入者した出資者が設定する事ができ、企業はTAPを超える資金を自由に動かすことができません。
企業は出資者にどのように資金が使われるのかを説明して、ロードマップ通りに開発を進め、TAPの引き上げてもらえるように努力する必要があります。

企業側はTAPを引き下げる権限だけしか与えられていないため、不正に調達資金を移動する事ができないというものです。

出資した人は、定期的にプロジェクトに関する投票を行える

前述したTAPの金額、プロジェクトの継続に関して、出資者は定期的に投票することができます。
「開発をさらに促進するべきだ」と投票すれば、開発資金であるTAPが引き上げられ、企業はより多くの資金を使って開発を進めることが出来ます。
逆に「この開発を見送るべきだ」「プロジェクトに将来性が無い」と判断され、投票数が過半数を上回れば企業はそのプロジェクトを閉鎖しなければなりません。
株式よりもさらに透明性が高く、出資者も意見をだすことができる仕組みになっているんですね。

DAICOや群衆の知恵を取り入れた通貨はすでに存在する

最後に、ここまで解説してきた「DAICO」や「群衆の知恵」を取り入れた仮想通貨をご紹介したいと思います。

初のDAICOを実現した「ABYSS(アビス)」

仮想通貨「ABYSS(アビス)」は、ロシアのゲーム会社「Destiny.games(ディスティニーゲームス)」が発起者となった世界初のDAICOトークンです。
現在2020年までのロードマップが公開されており、出社に徐々にTAP数を上げてもらえるような堅実な設計がなされています。
購入可能な通貨はEHTかBNBのみですが、ICOの開催期間は2018年の4/16〜5/16とこれからなので、興味ある方は是非参加してみてください。

群衆の知恵を活用する仮想通貨「Auger(オーガ―)」

イ―サリアムのスマートコントラクト技術を用いて「群衆の知恵」を活用する仮想通貨「Auger(オーガ―)」。
群衆の知恵を用いて未来を予想する「分散型未来予想」で注目を集めました。
当初はギャンブルと関係した仮想通貨であったため、あまり人気はありませんでした。
しかし使われている技術が大きく評価されたことや、日本の取引所「Zaif」で取引できることも受けて徐々に取引量が増えつつあります。

DAICOは、ICOの健全化を図る上でとっても有効!

ここまで新しいICOの形、DAICOについてご紹介してきましたがいかがだったでしょうか?

詐欺ICOが蔓延している現状をみると、ICOを健全化する方法は絶対に必要でしたし、仮想通貨のイメージ回復にも大きな効果をもたらすと思います。

コインチェックのNEM流出問題など、仮想通貨業界で問題になっていることの多くは、中央集権的な支配による不透明な管理が原因と言っていいでしょう。

ヴィタリック氏のあくまで非中央集権化を第一に考えた取り組みに、また一つ感銘を受けました。