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4月3日、ネット証券会社マネックスグループがコインチェックの買収提案を提示したと日経新聞が報じました。
580億円相当の仮想通貨NEMを流出させてしまった仮想通貨取引所コインチェック。
金融庁から業務改善命令を受けて、3月12日にNEM保有者に対する補填と一部仮想通貨の出金や取引を開始しました。
利用者・取引量ともに国内でもかなりの規模を持っていたコインチェックですが、NEM流出事件で失った信頼をマネックスグループがどのように回復しようとしているのか注目が集まっています。
そこで今回はマネックスグループとはどんな会社なのか、また、買収が成立した時にどんな影響を周囲にもたらすのかを考えてみたいと思います。
マネックスとはどんな会社なのか?
あらためてマネックスと言う会社はどんな会社なのかを見ていきましょう。
会社名 | マネックスグループ株式会社 |
子会社 | マネックス証券株式会社(マネックス証券運営) |
設立 | 平成16年8月2日 |
事業内容 | 証券・商品先物取引業 |
代表者 | 松本大(代表取締役社長CEO ) |
資本金 | 103億 |
主要株主 | マネックスグループ株式会社 100% |
公式サイト | http://www.monexgroup.jp/jp/index.html |
マネックスグループは新生銀行やオリックス証券の取締役を勤めた実業家・松本大氏がCEOを務める証券・商品先物取引会社です。
ソニーと共同出資で創業されたと言う経緯があり、事業規模もとても大きい会社になります。
CEOは実業家として有名な松本大氏。
松本大氏は金融商品・投資業界では非常に大きな影響力をもった人物。
その経歴は華々しく、新生銀行、オリックス証券、米マスターカード、株式会社ユーザベースなど様々な金融関連企業で取締役を務めてきました。
テレビなどにも何度も出演し、2014年にはテレビ東京の大江麻里子アナウンサーと結婚するなど私生活にも注目が集まる人物です。
その手腕は非常に高い評価を受けていますが、後述するマネックスショックで見せた断行には賛否両論、さまざまな議論が巻き起こりました。
証券サービスとしても非常に高い支持を得ている。
マネックスグループ子会社のマネックス証券は、証券サービスとして非常に評判がいいです。
特にアップルやFacebookなど、米国株取扱数は業界最多とも言われており利用者も非常に多いです。
マネックスショック
2006年1月、ライブドアおよび堀江貴文前社長宅に、東京地検特捜部が証券取引違反の容疑で家宅捜索に入りました。
その後、ライブドア株だけでなく株式相場全体が大暴落する結果となりました。後にライブドア・ショックと大きく報道される事件です。
実はこの暴落の直前に、マネックス証券が「ライブドア子会社株式の信用担保能力を「0」と評価する」と突然発表していました。
この発表は株式市場に大きく影響を与えることになりますが、松本大氏はそれをわかった上でライブドアに厳しい姿勢をとりました。
ライブドアショックによって起きた株式相場全体の大暴落は、マネックス証券が行ったこの発表が発端となって連鎖的に市場が混乱した結果ととらえる人も多いです。
このマネックスの発表から暴落の流れを、証券マンたちが「マネックスショック」と呼びました。
これに関しては「市場を混乱させる結果を選ぶなんて証券マン失格!」というような厳しい批判も多かったですが、それを知りながら強い姿勢をとった松本氏を評価する人も多いです。
コインチェック買収案を提出
2018年4月3日にマネックスグループが発表したコインチェックの買収提案をかんたんにまとめてみます。
マネックスグループのコインチェック買収案
・コインチェックの議決権の過半数を取得
・和田晃一氏(創業社)と大塚雄介氏(COO)を取締役から外し、マネックスから新社長を派遣
・1週間以内に買収提案についての会見を開く予定
・買収額は数十億円
個人的に最も評価したいのは、取締役としてNEM流出騒動の時に記者会見を行った和田晃一氏と大塚雄介氏を外し、経営陣を一新するという部分。
マネックス傘下に入ることと併せて考えれば、イメージ回復戦略として非常に良い方向に流れる気がしています。
和田晃一氏と大塚雄介氏は良い意味でも悪い意味でもあの記者会見でNEM流出騒動の顔になってしまいましたからね。
今後のことは今週中に行われる記者会見で明らかになっていくでしょう。
コインチェックユーザーである私からすると、記者会見は少し楽しみではあります。
金融庁の評価も上向きに
NEM流出騒動を受けて、金融庁は「みなし業者」であるコインチェックの営業再開は困難であると見ていました。
しかし今回の買収によって内部の管理体制が改められれば、認可を与えることを踏まえて慎重に判断するようです。
ほとんど希望のなかったコインチェックにとってはこれ以上無い転機と呼べるでしょう
マネックス株が急騰
今回の件が報じられたことで、マネックスグループの株価が急伸しました。
その価格は前日比80円高の424円とストップ高、上昇率は23%を達成。
マネックス社は仮想通貨業界に乗り込む準備をしていたとされ、金融庁の認可申請に関する調査を行っていたようですね。
仮想通貨市場の価格も上向き NEMも回復!
コインチェック買収の報道を受け、マネックス株が急騰!!仮想通貨相場も上向き!!
久々にホットなニュースなのかな?
正直、買収するマネックスさんにとって、大きな賭けになるような気がするけど、、、 pic.twitter.com/a8B2YVGdi7— じんぺい(仮想通貨研究中) (@BitLab_jp) April 3, 2018
金融庁の警告や今後行う処分の概要が明らかになり、仮想通貨市場全体の価格下降に拍車をかけている状態でした。
しかし今回の件で、仮想通貨全体の価格も上向きになりつつあります。今後の市場回復が期待できる良い刺激になりましたね。
渦中のNEMの価格も徐々に回復しており、今後カタパルトが実装されることを考えると少し投資しておいても良いかな…と思えるくらいになってきました。
シナリオとしては素晴らしい
マネックスグループは、おそらく昨年の終わり辺りから仮想通貨市場になんらかの形で参入しようとしていたと思われます。
コインチェック騒動や各国の規制強化の流れを受け、タイミングを見計らっていたようにも感じられますね。
もし今回の件がしっかり成立することになれば、筋書きとしては非常に素晴らしいと思いました。
コインチェック騒動の負のイメージから脱却し、市場価格の回復、株価上昇、新顧客の獲得まで見込める最高のシナリオです。
もし騒動前にコインチェックの買収案を出していたら、次世代の若い企業を資金力のある企業が、囲い込むように見られていたかもしれませんよね。
問題は、マネックスグループが現在提案されているものをしっかり実行してくれるのかどうか。
特に和田晃一氏と大塚雄介氏の動向は利用者も気になっているところだと思います。
日経によると社内に残り、裏方にまわる可能性もあると報じられていました。
仮想通貨市場全体のイメージ回復につながるか
NEMの流出騒動は、「取引所が中央集権的であった」ということをまざまざと見せつけることになりました。
「取引所は慎重に選ばないといけない」という学びになった点があるとは言え、仮想通貨業界全体への不信感につながってしまったことは間違いありません。
今回の件、個人的には業界にとってイメージ回復の良いきっかけになって欲しいと思っています。
しかしそれは、マネックスグループがしっかりとコインチェックの経営改新を行ってくれるのが大前提です。
コインチェック利用者としても、仮想通貨投資家としても、今後行われる記者会見に注目しておきましょう。