- 法務省は、犯罪グループなどが不正に入手した仮想通貨を没収可能に。
- 現行法では没収対象として明確に規定されておらず、これを改正する見込み。
- 日本のマネロン対策は、国際機関から法定刑の低さを問題視されている。
不正な仮想通貨回収可能に、法務省が法改正へ
法務省は、犯罪グループなどが不法に入手した暗号資産を確実に没収するため、組織犯罪処罰法を改正する方針を固めた。暗号資産はサイバー攻撃で狙われたり、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されたりするケースもあるが、現行法では没収対象に含まれるか明示的な規定がなく、「犯罪収益の取り上げに支障を来す」と懸念されていた。
仮想通貨にまつわる事件は数多く起こっている。流出や盗難による不正入手は世界中で発生している。マネーロンダリングや身代金の要求に仮想通貨が用いられる場合もある。
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ただ、暗号資産は「円」や「ドル」といった通貨のように国や中央銀行の後ろ盾がなく、発行主体も明確ではないことから、不動産や動産だけでなく、金銭債権にも当たらないという解釈が一般的だ。暗号資産の持ち主が「取引所」と呼ばれる交換業者に預けている場合、金銭債権とみなされることもあり得るが、その線引きは、はっきりしていない。
日本のマネーロンダリング対策は、国際機関から法定刑の低さも指摘されており、まだまだ改善の余地が多いに残されている。
仮想通貨の回収もできるようになれば、事件の全貌の判明や解決も大きく前進するはずだ。
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一般社団法人「日本暗号資産取引業協会」によると、国内の暗号資産の取引総額は2020年度に約117兆9690億円となり、16年度の33倍に急増した。一方、18年にはサイバー攻撃を受けた交換業者から約580億円相当が流出する事件が発生。交換業者が「マネロンなどの可能性がある」として所管官庁に届け出る取引件数も増えている。
市場に広がりや技術の発展にあわせて、法律は変化していく必要がある。特に仮想通貨業界は大きな金額、大勢の人々関わる問題が発生する可能性も高く、改正に関する議論は急務と言えるだろう。
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<参考元>読売新聞オンライン