- ブラジルの中央銀行の弁護士マルセロ・M.プラテス氏が、これからの仮想通貨業界やリブラについて語った。
- プラテス氏は仮想通貨には裕福な人とそうでない人との間で、利用の機会が限られていると指摘。
- リブラもといFacebookは多くの人がアクセスできる点を評価しつつも、信頼性を高めることが価値を安定させるカギとした。
世界中の人が使えるかもしれないリブラ、中銀弁護士が期待と課題語る
マルセロ・M. プラテス(Marcelo M. Prates)氏は、ブラジル中央銀行で弁護士を務めている。また、デューク大学ロースクルーで博士号を取得している。
プラテス氏が個人の見解として、仮想通貨業界やリブラについて語った。
コロナウイルスの影響で仮想通貨やステーブルコインに期待する声も大きくなっているが、プラテス氏は至って冷静である。
dai06
まず、仮想通貨はエリートのお金だ。仮想通貨の王様であるビットコイン(BTC)は、技術に精通し、裕福な者にとっては魅力的かもしれないが、生きるのに精一杯な人々のニーズには応えられていない。
(中略)
現金に依存し、高騰するインフレに最も影響を受ける貧困層と教育を十分に受けていない人々は、スマートフォンやネット、電気にさえも日常的なアクセスを持たない。
「仮想通貨は世界中いつでもどこでも使えるもの」というのが魅力としてよく語られるが、”誰にでも”使えるわけではない。
仮想通貨を持つことすらできない人にとって、それは何の意味も持たない。現金のほうが必要なのだ。
dai06
つまり、発行者やその通貨を裏付けるのが誰なのかは、依然として重要なのだ。滅亡へのシナリオに直面した時、東京にいる熟練投資家も、ジンバブエの一般人も、米財務省とFRB(連邦準備制度理事会)を何よりも信頼する。さて、このことは、民間の通貨発行者よりも政府の方が信頼に足るという意味だろうか。いや、必ずしもそうではないのだ。
政府が裏付けを行っていたのだとしても、その政府が個人口座の権限を掌握し、自由に凍結や引き出しを行えるのだとすれば、必ずしも政府による発行・裏付けが良いとは言えないのである。
dai06
フェイスブックは24億人のユーザーベースがあるため、装いを新たにしたリブラは直ちに世界人口の3分の1以上に利用可能となる。裕福でも貧乏でも、高齢でも若くても、教育を受けていてもいなくても、ユーザーがフェイスブックにアクセスできるということは、彼らはリブラも簡単に使うことができる。
リブラを主導するFacebookのユーザーベースには大いに期待しているプラテス氏。
だが、リブラは従来のステーブルコインとしてではなく、ビットコインのモデルを真似るべきであり、プライバシー・セキュリティ保護を徹底して信頼性を高めることが必要ともみている。
dai06
ソース元https://www.coindeskjapan.com/46097/