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2018年の頭ごろから、量子コンピューターという言葉が各種メディアで取り上げられるようになり、気になっている方も多いかと思います。
「量子コンピューターは仮想通貨の脅威になる」
「仮想通貨市場にも大きな影響を及ぼす」
こんなように語る専門家の方も多いですが、量子コンピューターが一体どんなものなのか知っている人は決して多くありません。
そこで今回は量子コンピューターが仮想通貨に与える脅威についてわかりやすくまとめていきたいと思います。
そもそも量子コンピューターとは?
湯本
「量子力学的に重なった情報を同時に計算する」コンピューターのことです。
私達の周りに溢れているコンピューターは、基本単位を1bitとして、「0」と「1」という2つの記号を切り替えることで計算をおこないます。
人間が視認して間違いを発見することができるとも言われていますが、より速い情報処理を行うためにはやや非効率的な方法なんですね。
一方で量子コンピューターは、基本単位1bitの中で「00」「01」「10」「11」の4つの記号を同時に計算することができます。
その計算スピードは一般的なコンピューターに比べて格段に早く、そのスピードは従来のコンピューターの1億倍とも言われ、暗号解読などの分野での活躍が期待されています。
量子コンピューターが仮想通貨に与える脅威
量子コンピューターは「驚異的な計算能力を持ったコンピューター」であり、暗号化された数式を解くスピードは年々上がってきています。
量子コンピューターのめまぐるしい技術向上によって、専門家の間で「仮想通貨の暗号が読まれてしまうかもしれない」という論説が唱えられています。
今回はその一部をご紹介していきたいと思います。
量子コンピューターは、暗号化されたブロックチェーン情報を読みとれる?
Bitcoinを始めとする多くの仮想通貨は、ブロックチェーンという技術を使って運用されています。
ブロックチェーンは、仮想通貨の取引情報を暗号化し、分散して記録しています。
ブロックチェーンには二つの「鍵」があり、誰でも見ることができる「公開されている鍵」と、保有者にしか扱えない「秘密の鍵」を用いて安全性を高めています。
「公開されている鍵」から暗号を解読することは理論上は可能です。しかし、そのためには膨大な時間と労力が必要になり、もしハッキングしようとしても従来のコンピューターでは現実的に不可能とされてきました。
しかし、量子コンピューターがこのまま発展して「公開されている鍵」の暗号解読が容易になれば、仮想通貨を始めとするブロックチェーン技術を用いた様々なサービスが吹きさらしのような状態になってしまう可能性があるのです。
誰でも量子コンピューターを買える未来がやってくる?
現在、量子コンピューターは誰でも手軽に扱える代物ではありません。
デバイスの大きさは「人がそのまま入れる」くらい大きく、昨年の1月にD-Waveが発表した量子コンピューター「D-Wave 2000Q」は、1台で1500万ドル(約17億円)の価格が付けられています。
決して一般人が容易に手に入れられるようなモノではなく、GoogleやNASAなどの大きな組織が購入して様々な実験を行っているような段階です。
しかし、ここ数年の技術の進歩はすさまじく、数年~数10年後にはサイズも小型化し、安価になって誰でも購入できる可能性があります。
投資家は今以上にセキュリティについて考えなくてはならない
2018年1月、仮想通貨取引所コインチェックから仮想通貨が流失した問題で、セキュリティに対して気を使っている人もずいぶん増えてきました。
しかし今後、より高度な計算能力を持った量子コンピューターが誕生すれば、今我々が取引している仮想通貨は全て無効になってしまう可能性がでてきました。
これからの投資家は、今以上にセキュリティに対して考えなくてはならない時代がやってくるでしょう。
当然、仮想通貨業界も量子コンピューターに対して様々な対策手段を模索しています。
いくつか例をご紹介します。
量子コンピューター対策が施された仮想通貨もある
実は既に、量子コンピューター対策が施された仮想通貨もたくさんあります。
例えば、IoT分野に特化した仮想通貨であるIOTAは、前述した「秘密の鍵」を使うたびに新しいものに変更するシステムを導入しています。計算方法も従来のコンピューターとは違う3進法を用いており、量子コンピューター耐性がある仮想通貨と言われています。
他にも暗号自体を別の数式に置き換えるもの等、投資家の中にもすでにそれらの「量子コンピューター耐性のある仮想通貨」に資産を移動している人もいるようです。
量子コンピューター耐性のある仮想通貨に関しては別の記事に詳しく書きますので、気になる方は是非参考にしてみてください。
まったく新しい暗号やブロックチェーンシステムが開発されている
暗号自体を別の文字列にするというシステムや、まったく新しいブロックチェーンシステムを開発している企業も多くあります。
これらはまだ情報が明かされていないものばかりですが、今後新しく発行される仮想通貨は「量子コンピューター耐性がある」というのが基本的なスペックになるかもしれませんね。
まとめ
さて、今回は量子コンピューターの脅威についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
膨大な計算を瞬時に行うことができる量子コンピューターは、きっと私達の将来を明るくしてくれると思います。
しかし同時に悪用された時のことも想定しておくことも大切です。
今後量子コンピューター耐性のある仮想通貨がより多くなれば、現在普及している耐性のない仮想通貨が淘汰されてしまう時代がくるのかもしれません。