- アメリカや中国に遅れをとっている「デジタル円」に追い風が吹く。
- 民間主導でデジタル円協議会が設立され、中央銀行と動きをともにする。
- 民間の技術力、中央銀行の制度的な優位性が組み合わさることで、研究が一気に進むかもしれない。
民間と中央銀行連携で「デジタル円」発行か
日本円のデジタル化は、本当に実現できるのか。麗澤大学経済学部教授の中島真志氏は「中国が『デジタル人民元』を実用化させる動きを見せ、日本でも『デジタル円』の発行に向けた議論が始まった。通貨は国が発行するものだが、民間企業も議論に参加している。一見、奇妙な形に見えるが、デジタル円を実現させるには望ましい順番だ」という――。
アメリカや中国に遅れをとっているとみられている「デジタル円」。しかし、6月5日にデジタル円の発行を目指す協議会が設立されることが報じられ、ここにきてデジタル化に一気に追い風が吹く可能性が浮上した。
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座長を務めるの山岡浩巳氏(フューチャー株式会社取締役)は、2018年まで日本銀行の決済機構局長を務めた元日銀マンです。そして事務局を務めるディーカレットの親会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の代表取締役は、元財務省次官の勝栄二郎氏です。
協議会は仮想通貨取引所を運営するディーカレットが事務局を担当。ここにNTTやJR東日本といった民間企業が多数参加するという、”民間主導”の形をとっている。
ただ、メンバーのなかには金融当局とかかわりのある人物も含まれており、官民一体となった動きをとることが可能となるそうだ。
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こうした官民の役割分担は、中央銀行が持つ「制度的な優位性」を背景に、民間の「技術的な優位性」を活かそうという発想は、拙著の主張とも重なっており、望ましい方向であると言えるでしょう。
円のデジタル化というのはまだまだ先進的な試みであり、官民一体となって取り組む必要がある。どちらかがどちらかの揚げ足をとっているようでは、アメリカや中国に追いつくことはできないだろう。
ただ、協議会の設立は、デジタル円の実現に向けた大きな一歩といえるかもしれない。今後の取り組みにも要注目だ。
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ソース元https://president.jp/articles/-/36538