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日本および世界各国の大手銀行は独自の仮想通貨を発行して、新たなサービスの展開を検討しております。大手銀行が発行する仮想通貨なので安心と考えている仮想通貨ユーザーやその他の人達は多くいるのかと思われますが、実際はどうなのかと疑問点を浮かぶところです。ここでは、銀行が新たに発行する仮想通貨は普及するかどうかについて、考察していきます。
銀行が仮想通貨を発行するそのわけとは
ビットコインが誕生して、ブロックチェーンという分散型台帳技術が表に出て以降、金融及び各業界は、特にブロックチェーンに注目しています。セキュリティ上、データの改ざん防止に役立つとされるだけでなく、様々な不正を防ぐことが可能とのことです。この技術があれば、用紙を必要としない、ペーパーレス化を進めることができて、カルテなど医療機関にも役立つと考えられます。
なぜ銀行はブロックチェーンに注目しているのかというと、それはコスト削減にあるでしょう。従来は大型のコンピューターやサーバーなどを設置することで、顧客の口座を管理していますが、それらを設置する費用が大きくかかり、常に稼働するにも電気代がかかります。しかし、ブロックチェーンを導入することで、大型のコンピューターやサーバーの設置を必要とせず、データの改ざん防止につながり、結果的に顧客の口座が守ることができるというわけです。
そのブロックチェーンに対応するため、銀行自らが仮想通貨の発行を検討しているということでしょう。
仮想通貨の発行にどのような銀行が参加するのか
現在、確認されている日本の銀行は、三菱UFJ銀行、SBIホールディングス、みずほ銀行とゆうちょ銀行や地方銀行などです。どういった仮想通貨を発行するのか、これらの三つを次に挙げて、解説していきます。
三菱UFJ銀行のMUFGコイン
MUFGコインはブロックチェーンを導入した仮想通貨です。価値は日本円と同じで、常に「1コイン=1円」を維持します。発行元が三菱UFJ銀行だから、このようなことが可能になるというわけです。仮想通貨としての投資価値はないと考えていますが、電子マネーみたいな決済手段としての利用を目的にしています。
どのような機能を持つのかというと、割り勘ができるとか、送金にかかる手数料というコストを抑えるなどです。2017年5月に実証実験が開始しているとのことであります。
SBIホールディングスのSコイン
Sコインにもブロックチェーンを導入しているのですが、特徴は決済用プラットフォームであるSコインプラットフォームにあります。SコインプラットフォームはSBIホールディングスが独自に構築された決済向けのプラットフォームだけでなく、地方の自治体や他の企業でも、このプラットフォームを利用して独自の通貨を発行し、仮想通貨同士の交換ができるようにする予定です。
Sコインは文字通り、決済を目的に発行された仮想通貨で、24時間いつでも使用できるように設計されています。Sコインを利用することで、決済に関する大幅なコスト削減に加え、速やかなモバイル決済を目指しているとのことです。
みずほ銀行とゆうちょ銀行や地方銀行のJコイン
みずほ銀行とゆうちょ銀行と多くの地方銀行(地銀)が共同で、新しい仮想通貨であるJコインを発行すると発表されています。Jコインの特徴は、1コイン=1円として日本円と交換できるというところです。機能的には、先ほど説明したMUFGコインと同じで、ブロックチェーン技術が使われ、決済にも特化しています。
みずほ銀行やゆうちょ銀行のような大手金融企業はともかく、地方銀行が仮想通貨の発行に関わっていること自体が、仮想通貨やブロックチェーンに地方が注目しているということでしょう。
銀行が発行した仮想通貨は普及するかどうかを考察
日本人向けにサービスを展開するとなれば、普及するかどうかは疑問を抱く部分があります。なぜなら、利用するメリットが少ないからです。すでに日本円を使った電子マネーやモバイル決済が普及しており、わざわざ銀行が発行した仮想通貨を使用するより、電子マネーやモバイル決済のほうが効率は良いと考えているからです。
どちらかといえば、訪日外国人向けにしたほうが普及するのではないかと考えています。外国人が日本で買い物するときは当然、外国通貨は利用できません。その外国通貨と銀行が発行した仮想通貨と交換できるようになれば、外国人も日本で買い物しやすくなるということです。
しかし、外国人にも向けられるかどうかは現在でも不明であります。
銀行で作った仮想通貨の普及は難しいと言える
なぜ銀行で作った仮想通貨の普及が難しいのかというと、日本は現金主義が強い傾向にあるからです。なぜ現金主義が強い傾向にあるのかというと、いくら使ったのかを把握できるとか、カード払いが怖いとか、誰にも知られることなく使うことができる匿名性を持っているなどが挙げられます。長年の慣習から脱却できない日本人の悪いところで、いくらキャッシュレス化を進めても、不可能と言っても過言ではないでしょう。
我々キャッシュレス派からすれば、現金はデメリットでしかありません。現金を発行するだけでもコストがかかるだけでなく、現金を引き出すATMを稼働させるにもコストがかかり、現金を輸送するだけでも常に危険と隣り合わせな上に莫大なコストがかかります。本当にキャッシュレス化を進めたい場合は、現金発行を停止して現金の使用を禁止にするなどの法律を制定して強制力をかけなければならないということです。
話しを戻しますが、日本の現金主義が強い傾向にあることを考えると、銀行で作った仮想通貨の普及は難しいです。しかし、日本はいずれキャッシュレス化となると考えているので、キャッシュレス化が進めば、その仮想通貨は普及すると予想できるでしょう。