公式Twitterも運営中!フォローしてね!

【NEM大量流出事件】金融庁がコインチェックに業務改善命令。

この記事は、湯本さんから寄稿頂きました。

このニュースを三行で解説

・コインチェックのXEM不正流出は、海外からの不正アクセスが原因だと判明
・金融庁、コインチェックの安全対策に疑問。業務改善命令を出す方針を固める。
・不正アクセス禁止違反として、刑事事件に発展する可能性もある

金融庁の改善命令とコインチェックのセキュリティ

毎日新聞が、先日仮想通貨取引所「コインチェック」で起きたXEM大量流出事件の原因が、海外からの不正アクセスであることを報じました。
金融庁はコインチェックのセキュリティにも問題があった可能性があると、業務改善命令を出す方針を固めたようです。

【下記、コインチェック公式サイトから引用しました。】

当社に対する金融庁の業務改善命令について

2018.1.29

コインチェック株式会社は、このほど発生した不正アクセスによる仮想通貨NEMの不正送金に関連し、本日、金融庁から資金決済に関する法律第63条の16に基づく業務改善命令を受けました。

当社では、今回の措置を厳粛かつ真摯に受け止め、深く反省するとともに、早期に、事案の事実関係と原因究明、お客様の保護、システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化ならびに、実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定を進めていく所存です。

改めまして、お客様をはじめとする関係者の皆様に、多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。また、今後、策定する改善策を着実に実施することにより、お客様の信頼回復に向け、最善の努力をしてまいります。

Ⅰ.業務改善命令の内容 1. 本事案の事実関係及び原因の究明 2. 顧客への適切な対応 3. システムリスク管理態勢にかかる経営管理態勢の強化及び責任の所在の明確化 4. 実効性あるシステムリスク管理態勢の構築及び再発防止策の策定等 5. 上記1から4までについて、平成30年2月13日(火)までに、書面で報告すること。

以上

※一部誤表記がございましたため、2018年1月29日 20:00頃表記の修正を行いました。

 

金融庁の改善命令とコインチェックのセキュリティ

今回の報道で、コインチェックのセキュリティに関する新情報が出てきました。それはコインチェックが仮想通貨を「ネットに繋いだ状態で管理していた」ということです。

通常、仮想通貨取引所はハッキング防止のため、仮想通貨を外部ネットワークから切り離した状態で管理しています。
個人投資家ですらハッキングを警戒して、保有している仮想通貨をハードウォレット(ネットから切り離された外部デバイス型ウォレット)に保管している人が最近増えています。
こういった危機管理能力の低さや甘さを知ってしまうと、利用してた人間の一人としては非常にガッカリです…

今回のコインチェックのXEM大量流出について、金融庁はたった3日で行政処分を下しました。もちろんセキュリティ問題が一番の理由だと思います。
しかし異例とも呼べる速さで処分が下された背景には、それだけこの事件に関わった被害者の数が多く、社会的に注目度が高かったということも大きいでしょう。

返金時期や返済の実現に対する疑問

コインチェックは26日に流出事件が起きてから、たった1日半で被害金を補填する声明を発表しました。
迅速な対応に利用者は喜んでいますが、約500億近い金額を自社資本から補填することが現実的に可能なのでしょうか?

それに関して三菱UFJリサーチ&コンサルティングの廉了(かどさとる)主席研究員は、こんな推測を毎日新聞に語っています。

今回の事件は情報の少なさが異例で、返済の実現性を疑問視せざるをえない。強力なスポンサーが存在するか今後の不確実な収益をあてにしている可能性もある

出典:毎日新聞「顧客保護軽視に不信感 金融庁改善命令、返金実現不透明」

コインチェックは最大で月間4兆円の取引高を記録した大手取引所です。ブロックチェーン推進協会の杉井靖典副代表理事も「コインチェックなら約3カ月で工面できる可能性がある」と推測されています。
しかし財務状況が明らかにされていないこと、返済期日がまだ発表されていないことには、利用者として不安が残る部分です。

廉了さんが推測するように、コインチェックが返済金の元手としてアテにしているが「今後の収益」であれば、取引所としての信用を失った現状を見てみると、最悪のケースを覚悟しておく必要はある気がします。

コインチェックの対応は、今後の仮想通貨業界に大きく影響する

長期的に見れば仮想通貨やブロックチェーン技術は、必ず世の中に普及していくと思います。
仮想通貨への認識が各国で明確になったことで法整備が急速に進んでいますし、2018年は間違いなく業界にとってのターニングイヤ―と言えるでしょう。

今回の事件によって業界の成長にケチがつくのは誰の本位でもありません。だからこそコインチェックは対応を慎重に行って欲しいです。
まずは返金期日の詳細を発表し、その期日通りに滞りなく返金を済ませることが重要だと思います。