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OFAC (米国財務省外国資産管理局)のビットコインブラックリスト、仮想通貨のあり方を変える可能性あり

この記事は、匿名希望さんから寄稿頂きました。

目次

米国政府の管理局が示した短い文章。
これによって仮想通貨エコシステムのダイナミックスはがらりと変わることになるかもしれない。

米国財務省外国資産管理局は3月19日、ブラックリストの対象者に対してデジタル通貨のアドレスを、SDN(制裁対象)リストに追加することを検討していると発表した。

米国財務省外国資産管理局は「仮想通貨に関する質問」と名付けられたウェブサイト上の新たなページで、「ブラックリストの人物または団体に対してデジタル通貨のアドレスも制裁対象に含めるかもしれない」と記載。

ブラックリストには、「制裁国の政府」、「テロリズム」、「大量破壊兵器の売買」、「違法なドラッグ売買」に関連付けられた個人や団体が含まれている。このリストには様々な種類の記録が含まれており、名前だけの場合もあるが、名前・住所・別名などが含まれるケースもある。

金融機関は、取引時に提供されたすべての仮想通貨のアドレスを米国財務省外国資産管理局に渡されたリストに基づいて確認する必要が出てくるだろう。リストに該当する場合は「報告」、「サービス拒否」、「取引のブロック」を実施することになる。

管理局のFAQはリストに記載されている対象者のデジタル通貨アドレスを報告するように奨励している。
制裁対象リストは日々更新されていくことになるだろう。

ニュースのQ&A

このニュースで様々な疑問を持った仮想通貨保持者も多いはずだ。
下記はいくつかの疑問に対する回答となっている。

制裁対象のアドレスを決定するのは誰か?

米国財務省外国資産管理局は財務省によって運営されており、現在財務省がリストのメンテナンスおよびアップデートを行っている。既存の制裁対象リストは、すでに米国財務省外国資産管理局によってリストアップされた個人および団体に関連付けられたアドレスを追加するようだ。米国財務省外国資産管理局は、リストに記載されている個人や団体に関連付けられたアドレスに関する追加データを提供するよう、呼びかけている。

仮想通貨のアドレスが誤ってブラックリストに載っている個人に関連付けられてしまったら?

控訴手続きを行うことができる。
控訴することで、あなたのアイデンティティやコンタクト情報は米国財務省外国資産管理局に届き、あなたがリストに記載されている個人とつながりが無いか改めて調査する。
その際、リストに記載された個人や団体が行っている違法取引にあなたが関与していないという証拠を提出する必要が出てくる

制裁リストに記載されている仮想通貨アドレスを受け取った場合は?

受け取った通貨はリスト上の個人もしくは団体に関連付けられている「汚染」されているものである可能性が出てくる。あなたのアイデンティティおよび仮想通貨アドレスも米国財務省外国資産管理局のリストに追加されるかもしれない。

米国財務省外国資産管理局が、リストに記載されているパブリックのキーアドレスから通貨を送信したり受け取ったりする新しいアドレスも追加するかどうかは不明。しかし、制裁リストに記載されている非合法の個人・団体とのあらゆる取引は禁止されており、刑罰に処される可能性がある。

米国財務省外国資産管理局がブロックチェーントレースソフトウェアを使い、リストに記載された仮想通貨アドレスと取引した相手を識別することができるようになれば、この取引相手のアドレスも制裁対象リストに記載する可能性がある。

そうなれば、制裁対象リストに記載されるアドレスはあっという間に何倍にもなるだろうし、現在記載されていない個人や団体のアドレスも新しく記載されることとなるだろう。

これにより、米国財務省外国資産管理局と非合法の個人・団体との終わらない追いかけっこが始まる。ブラックリスト対象者は資金を次々と仮想通貨へ移行している。米国財務省外国資産管理局は迅速にリストをアップデートする必要があるだろう。

制裁対象の仮想通貨アドレスを送金した場合、送金元と送金先のアドレスも制裁対象リストに記載されるのか?

米国財務省外国資産管理局は制裁対象リスト上のアドレスとやりとりするアドレスを全て制裁対象リストに新しく記載したいと考えているとする。その場合、記載されたパブリックアドレスが誰かに取引を送信し、チェンジを受信したとすると、送信元のアドレスもチェンジのアドレスも制裁対象リストに記載されるのだろうか?
財務省がブロックチェーンの読み取りと制裁対象リストのアップデートにどれほどのリソースを割くかは不明だが、おそらく記載される。ただ、それをするためにはフルタイムのスタッフや追跡のためのみに使用出来るソフトウェアが必要となり、また禁止されるアドレスは急速に増えていくだろう。

米国財務省外国資産管理局が何をしようとしているかはすぐわかるだろう。制裁対象リストは定期的に新しいデータにアップデートされるだろうし、新しいアドレスを追加するための迅速なアップデートは外からも検知しやすいからだ。

リストに記載されている仮想通貨アドレスが、第三者の管理機関(例: マルチシグウォレット提供者や管理取引所)に使用されている場合、どうなるのか?

不明だが、マルチシグウォレット提供者の仮想通貨アドレスを制裁対象リストに追加するとなると、管理提供者のサービスを使用しており、提供者にファンドを移管している全てのユーザーに影響が及ぶ恐れがある。

そのマルチシグウォレットの顧客はファンドがブロックされ、いかなる金融機関を通しても取引できなくなるかもしれない。制裁対象リストに記載されたあらゆる個人および団体とのビジネス取引は禁止されているからだ。

仮想通貨アドレスは通常シングルユーズではないのか?そうなら、これは問題となるのか?

仮想システムのユーザーが完璧な状態でいたい場合、問題となるだろう。しかしほとんどの場合、仮想通貨ユーザーはセキュリティより利便性を重視している。

取引が報告される可能性はどれほど高いのか?

取引は、米国財務省外国資産管理局のコンプライアンスチェックをする必要がある団体を通る、もしくはそのような団体に公開される場合、報告される。小売、非金融機関は通常含まれない。つまり、金額の小さい取引はおそらく報告されないが、金額が大きい取引は報告される可能性が高い

米国財務省資産管理局によってチェックされた団体の問い合わせ義務はあるのか?

不明である。リスト上のアドレスとの直接取引は検知されるだろうが、リストに記載された仮想通貨アドレスとの取引を、記録を遡って確認する義務があるのか、どれほど前の記録まで確認すべきかは明らかにされていない。

ガイダンスによると、金融機関はリスト上の個人もしくは団体が大多数を占めるパーティーを識別する義務があるとされている。しかし、仮想通貨アドレスの現在のユーザーの識別は難しいだろう。

米国財務省外国資産管理局が制裁対象リストに、リスト上のアドレスから送信・受信された仮想通貨アドレスを追加するとして、私がリスト上の仮想通貨アドレスから取引を受信した場合、この仮想通貨アドレスと関連付けられた私の資産は全て汚染されたということになるのだろうか?他の使用されていない、リスト上の仮想通貨アドレスから受信・送信されていない取引アウトプット(UTXO)はどうなるのか?

この仮説に基づくと、そういうことになる。米国財務省外国資産管理局がUTXOを送信アドレスに基づいて区別していれば別だが、おそらくしていないだろう。

預金口座内の預金とは異なり、仮想通貨のUTXOを受信することは資産が混合してしまうということではない。1つのウォレットの中に入っていたとしても、別々に管理されている。だから区別することは可能である。しかし、取締官がどのようにこの問題にアプローチするかは不明である。

繰り返しになるが、米国財務省外国資産管理局がこのプロジェクトにどれほどのリソースを使用出来るか、どのようなソフトウェアを使用するかに左右される問題である。

米国財務省外国資産管理局が制裁リスト上のアドレスから他のアドレスへの取引を追跡しており、受信者のアドレスも追加しようとしている場合、米国財務省外国資産管理局は禁止したいアドレスがあるものの、そのアドレスを使用する個人のアイデンティティまでは分からない場合もあるのではないか?

おそらくそうである。特定のアドレスに紐づくアイデンティティを確認するのは難しい。パブリックキーアドレスに関連付けられた資産は、そのパブリックキーアドレス向けのプライベートキーを保持している者誰にでも使用できるからである。また、保持者は変更に関する情報なしにシステムにも反映されないまま変更されることもあるからである。

ユーザーとパブリックキーアドレスをマッピングすることは、取締官が期待するよりも大変な作業になるだろう。

ノードオペレーターやマイナーもブラックリストに入ったアドレスからの取引は除外するよう義務付けられるのだろうか?

おそらくそうである。

ノードオペレーターはそのような義務を負わないかもしれないが、マイナーはコンプライアンスに準拠する義務がある。なので、マイニングや新しい取引の確認は今後劇的に変化する恐れがある

マイニングプールはリストに記載されたアドレスがマイニングにプールに参加していた場合、これを追放しなければならない。プール全体の信頼性に関わる問題になるからだ。マイナーは、リスト上のアドレスを含む取引は拒否、もしくはブロックするように義務付けられるだろう。これはマイニングの理念とは正反対の事象である。

これは、政策や法律が直接システムのコードやガバナンスと関わり合う事例である。法律科の教授が喜んで試験問題にするようなイシューが色々と出てくるだろう。

ライトニングネットワークはどのような影響を受けるか?

ライトニングネットワークがお金のトランスミッターとしてみなされているなら、ライトニングネットワークのノードオペレーターはこれに準拠し、リスト上のアドレスを含む取引を拒否もしくはブロックする必要が出てくるだろう。

これは通貨の交換特性に影響を与えるか?

与えるだろう。市場におけるプレミアムの、もしくは新しくマイニングされたコイン、もしくはトレースされた「クリーンな」コインが、「クリーンな」マイナーから来たものだとしよう。

これは、機能的にクリーンな資産と、リスト上のアドレスを通貨した「汚染された」コインの価格の分岐点になるかもしれない。

そのどちらにも属さない「グレー」なコインを含めると、価格は3つに分かれる可能性もある

タンブラーやミキサーはどうなるのか?

タンブラーはおそらく「グレー」のトークンを生産するだろう。元々はブラックリストに載っていないが、取締官がソフトウェアツールやリソース、スタッフを使用し詳細な分析や導入を行うことができるようになれば「タンブル」とタグ付けされブラックリスト化されるようなトークンである。

タンブル、もしくはミックスされたコインを使用した取引はどのみち疑わしい取引だと報告されてしまうだろう

リスト上のアドレスから受信・送信されたコインは永遠に「マーク」されてしまうのか?

現時点では誰にも分からない。

取引所はどうか?

取引所は間違いなく準拠が必要になるだろう。アメリカではブラックリスト入りしたアドレスの除去が可能となる

しかし、これにより分散化された取引所や海外の取引所での取引量が急激に増え、参加者が被害をこうむるだろう。

Zキャッシュやモネロのようなプライバシー機能のある通貨はどうか?

サポート、開発、このようなトークン使用は改善されるだろう。また、プライバシーモードの使用も増えるだろう。

自分の仮想通貨がクリーンかどうか確認する方法は?

UTXOの「汚染」を確認したり、米国財務省外国資産管理局に準拠した通貨サービスを提供しているベンダーを確認したりできるツールが開発されるはずだ。

このニュースが逆火を起こす可能性はあるか?最悪のシナリオは?

もちろんある。記載された仮想通貨アドレスの操作者が、あらゆるアドレスにサトシをばらまいてすべてのブロックチェーンを「汚染」する可能性もあるだろう。

アドレスをリスト化し、適切な追跡ソフトウェアを使用しても、米国財務省外国資産管理局はすべてのアドレスが、リスト上のアドレスから近い場所にある(2,3の取引ほどしか離れていない)ということを発見し、ツールは何の意味がなかったという結果になるかもしれない。

(仮想通貨ビジネス名)を運営しており、不安を感じている。どうすればいいか?

資格を持った弁護士もしくは銀行法や仮想通貨に詳しいコンプライアンス・コンサルタントと話をし、仮想通貨システムに関して理解を深めよう。また弁護士やコンサルタントを雇い、法的アドバイスを受けるのもいいだろう。

法的アドバイスに関して、TwitterやRedditのコメントを鵜呑みにしてはならない。